新ラマーズ法 |
●その前に |
1. 自然の中の人 |
まず、 人とはどのような生物か、 について考えて見ませんか。 生命は地球上で約36億年前、 海水の中で単細胞生物として生まれました。 そのDNAは地球上の植物、 動物すべての生物に受け継がれ現在に至っています。 ただその間、 地殻変動、 隕石の衝突、 氷河期などの環境の激変があり、 ある種の生物は絶滅、 生き残った生物は一部を除いて次第に進化を遂げ現在に至っています。 そして、 地球上の微生物、 植物、 動物は巧妙な循環をつくって生命を存続させています。植物は炭酸ガスを吸収し、動物は酸素を必要とし、炭酸ガスを排泄します。また、 海水は多量の炭酸ガスを吸収し、 胎児は海水と殆ど同じ成分の羊水の中で発育しています。 そして、 動物、 植物は次の子孫を残し死亡すると微生物によって分解され土に帰り、 それを栄養として植物が育ち、 動物は植物を食料としたり、 動物同士も限られた地区内での生存可能なだけの肉を分かち合い、 お互いに助け、 利用しあいながら生命を存続させ現在に至っています。 これが自然で、 人も如何に進化を遂げたといってもその中の一生物に過ぎません。 人の進化は物質文化についてのみ異常に発達してきました。 生物は生存のために、 もともと自己中心的なものですが、 物質文明の発達は安楽さ、 便利さを求めすぎ、 それらを造るために排泄される有害物質、 自然の環境を破壊する建造物、 機械類など、 かえって心身の不安定をつくる原因になり、 負の遺産を多く抱える結果になっています。 |
2. 人とは |
私たちは眼、 耳、 鼻、 舌、 皮膚、 内臓などからの信号を脳に伝えて、 脳はその信号がどのようなものであるかを判断しています。
例えば、 眼の網膜に写った像だけでは、 それがどのようなものかは分かりません。 その信号が神経細胞によって脳の各部署に伝えられ、 はじめて景色であれば美しいとか、 そうでないとか、 人であれば好きとか嫌いとかなどを判断しているのです。 そして、 人は遺伝子によってその姿、 形は決定されています。 ただその中身はその人を取り巻く環境によって如何様にも変わってゆきます。 環境は、 脳の発育により大きな影響を及ぼしてゆくのです。 胎児としてお母さんのお腹の中にいるとき、 2〜3歳までの両親の接し方が大切といわれています。 そして、 6〜7歳までと24歳までに決定づけられるものがあると分けて環境の大切さを述べておられる方もいます。 これらは、 その人の性格の基本になるものです。 そして、 それ以後、 その性格を背負いながら自分の考えで本を読んだり、 先輩から学び、 悩み苦しみながら自分自身の生き方を探し求めるのが人生と思います。 |
3. 人には意識の世界と無意識の世界がある |
よく氷山に例えられるのですが、 海の上に出ている部分が意識の世界、 海の中に隠れている部分が無意識の世界です。
氷山では海の上に出ている部分を1とすれば、海の中に隠れている部分は7もあるということです。 無意識の世界もそれに劣らないほど大きいといわれています。
意識があるということは、 言葉で表現できます。 これは理論の世界です。 近代文明は専ら人にとって少しでも便利で利益になるように理論によって組み立てられ実行されてきました。 一方、無意識は自分でも分からない世界です。この世界は、人として共通なものから、 遺伝的なもの、 先ほど述べた幼少時の自分で覚えていない体験、 それが性格になるのですが、 それらすべてが含まれています。 したがって、 人は無意識の部分から突き上げてくるものがあり、 それをコントロールするのが意識の部分の理性になります。 しかし、 無意識の部分に押し流されて、 そのつじつま合わせに言葉を用いることが屡々見られるのも事実です。 しかも、 言葉で言い表していても個人、 その家族、 部族、 民族、 宗教、 国そして時代によって異なるのが現実です。 実は、 私たちは脳をとおして各自違った色眼鏡で物を見ているのです。 したがって、 人は真実を見ることは難しい、 自分が見た物だけを真実と思うな、 他人の見ている物を間違いと思うなという言葉もあります。 また、 自分独自な世界しか持っていないということは、 見る物、 聞く物、 触れる物すべてが自分自身しか分からないもの、 自分自身の物 (自己の範囲) と考えられます。 したがって、 自分の相手を粗末にしたり、 傷つけることは、 自分自身を傷つけることになるのではないでしょうか。 |
4. 福と禍は一つのものの両面 |
老子の言葉に福は禍のよる所、 禍は福の伏す所というのがあります。 安心と不安、 喜びと苦しみ、 愛と憎しみ、 富と貧乏など、 ものの両面として何時反対の面が出るか分からないことになります。 お産でも、 流産、 死産、 その他病気を持って生まれる場合もあるということです。 |
5. 花はただ咲いているだけ |
花は人に美しいと愛でてもらうために咲いているのではありません。 人が勝手に思っているだけです。 |
6. 自己の安定 |
今まで述べたような理由によって、 私たちの脳は色々なことに対して過剰に反応して喜びすぎたり、 悩んだり苦しんだりします。
それでは、 どうすればよいのでしょうか。 それは、 身体と心、 言い換えれば、 身体と脳の働きをバランスのとれた安定した状態にすること。 ありのままの状態を受け容れるようになることです。 少しでも、 眼の網膜に写ったありのままの像を脳が判断出来るようになることです。 迷い苦しむ事が無くなります。 脳の鎮静、 それは身体の過剰な緊張をとる方法につながります。 そして、 どちらに転んでもその事実をありのまま受け容れること、 それ以外自己を安定させる方法はないと思います。 そのヒントが新ラマーズ法にあります。 |
以上のことを良く理解してから新ラマーズ法を学んで下さい。 |